顧客のみが招待される着物の展示会

知人に誘われて着物の展示会に出かけたことがある。ホテルの一室を貸し切った場所で開催されていた。店側のお得意様ご招待の展示会とのことで顔を出すだけでかなりの粗品が貰える豪華な場所であった。知人は茶道の先生という職業柄季節に合わせて何着も着物を仕立てる上得意で、顔を見せるなり、店のスタッフが愛想よくまとわりついていた。以前でかけた着物の展示会は芸能人が着物の見立てするという内容のもので、人であふれかえっていた。正直、雰囲気で着物を購入している人が多く、まるセール会場のような熱気であった。そのこともありも着物展示会に関してはあまり良い印象を持っていなかったのも事実である。しかし、今回訪れた場所は以前のものとはまるで違う内容であった。まず人の多さが違った。知人に聞いてみるとあらかじる訪問時間を店側に伝えるのがルールとのことであった。

店側のスタッフが目の届く範囲ではないと顧客が満足いく接客ができないという理由である。もちろん展示会で商品を購入しなくても問題はない。今年の流行の傾向や、普段、店頭では見ることのできない貴重な品物や豪華な品物など展示会で見せるというファッションショー的な役割も担っている。顧客だけにサービスする特別待遇の内容である。今まで知らなかった世界とも言える。目の肥えている知人は展示している着物の金額を当たり前のように言い当てていた。驚いたのは車一台購入できる着物ばかりであったことである。豪華で派手なものではないが、素人が一目見ただけでは本当にわからない世界である。知人は何点が肩に当てて楽しんでいた。購入しないのかと聞くと目の保養だと答えた。自分たちが立ち去るまでの間会場に訪れたのはわずか3人ほどであった。周りに遠慮することなく店側のスタッフに質問ができ、好きなだけ高価な着物を見せてもらうこともできた。おいしい和菓子をいただけ、本当に来てよかったと思える展示会であった。顧客になれば招待をされる。これも、特別意識を持たせることにより、日頃より商品をまめに購入してもらうという店側の商売の形である。今回の招待が明日の売り上げにつながっていくのだから、その場で商品を購入しないとしても店側には損がない。

どうしても気になった商品であれば後日店頭で購入可能というのも店に足を運ばせる一つにきっかけとなる。誰もが気軽に行ける場所も必要だが特別な人のみが招待される場所というのも捨てがたいものだと感じた経験と言える。